週末の取引は窓明けに注意

週末の取引は窓明けに注意

欧州の財政問題は依然として不透明であり、その悪影響は欧州周辺国や金融機関の格下げに表れ始めたました。短期的に悪材料は織り込み済みで期待が先行していますが、中期的には財政問題の悪化やソブリン危機が強く意識された場合、投資家のリスク回避姿勢が高まり、ドルや円が上昇する一方で、クロス円や株価が下落する可能性があると考えています。

 

今週は欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の機能拡充案で懸念されていたスロバキア議会が、最終的に批准しました。また、トロイカ調査団(欧州連合:EU、国際通貨基金:IMF、欧州中央銀行:ECB)もギリシャの第5次審査を完了し、ギリシャ向け第1次支援の第6弾融資額80億ユーロの送金を11月初めに実施することを勧告しています。

 

さらにEUやIMFの承認を待たなければなりませんが、ギリシャへの融資実行がほぼ決まり、足元のデフォルト(債務不履行)を回避できたことがユーロを支えています。

 

ただ、7月21日のユーロ圏首脳会議(サミット)で合意したギリシャ支援を含む一連の救済策について、ドイツが修正を求めていますが、ECBはこれに反対しています。ドイツが主張する欧州内銀行のヘアカット(債務減免)拡大に対し、7月サミットでの合意事項を「ユーロ圏内の全政府がすべての項目にわたって完全に履行すること」を強く求めるというものです。

 

また、米大手格付け会社(ムーディーズ、S&P、フィッチ)が、欧州の信用格付けへの引き下げ圧力を増しています。さらに、ギリシャ国債への減免率増加や銀行の資本増強にともなう負担増に対する懸念が、欧州周辺国(イタリア、スペイン、ベルギーなど)の対独スプレッドを拡大させています。

 

 

米FOMC議事録の公表により追加金融緩和が当面ないとの見通しに加え、具体性はないもののEUの資本増強案などの発表で危機拡大への懸念が和らぎ、ドルや円が売られクロス円が上昇する流れとなりましたが、足元のポジティブなニュースがポジション調整を進めたに過ぎないと見ています。

 

そのため、欧州の財政問題に対し楽観的な見通しは時期尚早であり、根本的な解決はこれからであるため、先行きに対する不透明感は依然として払拭できません。それでも短期的に今回の流れが継続するかどうかは、以下の問題の進捗状況によると考えています。

 

本日19時半頃からイタリア下院で、ベルルスコーニ政権に対する信任投票が予定されています。予算関連法案の採決で過半数を得られなかったことが背景にあります。今のところ信任される見通しだが、万が一不信任となればユーロのネガティブ要因となります。

 

14日から15日にかけパリで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、銀行の資本増強に取り組む方針が表明される見込みですが、何か具体的な声明が発表される可能性は低いようです。

 

また、10月23日に延期されたユーロ圏首脳会議では、
1.ギリシャ債務の大幅削減(50−60%までの元本削減案)
2.欧州の銀行への資本増強(IMF案では最大2000億ユーロ程度の資本増強案)
3.EFSFの活用方法(EFSFに銀行免許を与え、レバレッジ大幅増を目指す案)

 

などが重要議題となる予定です。

 

ギリシャでも公務員の削減や新たな年金、賃金減額を盛り込んだ法案を23日の首脳会議前に議会で可決する必要に迫られています。さらに、メルケル独首相とサルコジ仏大統領は9日の共同記者会見で、銀行の資本増強を柱とした決定的な危機対策を11月3日にカンヌで開かれる(G20)首脳会議までにまとめることを約束しました。

 

今後は、G20開催まで予定外の会合を欧米市場が閉まっている日曜に開催すると思われます。予定外の会合が開催された場合、内容次第では月曜のオープンから窓を開け、乱高下する可能性もあるため、今後は週末を挟む取引には注意が必要となるでしょうね。